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米サイドストーリー

「ベイサイドストーリー」と読みます。枚方市の米屋「ことぶき米穀」の店長が、米屋の日常などを書きます。古い記事の場合、お米の価格が変わっている可能性があります。最新の価格は、ホームページでご確認ください。

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【読書】白銀ジャック

もうブログはやめちゃったのかと思った方、すみませんでした。
少し書く気力が萎えておりました。

今日読み終えた本が面白かったのと、今日は暇でやることがなかったので、このコーナーをやります。


読んで面白かった本の紹介をするコーナーです。
基本的に古本屋さんで買うので、最新の本の紹介ではありません。

 「白銀ジャック東野圭吾(実業之日本社文庫)

ハズレがないので、東野圭吾さんの本はよく読みますが、この本を読んでいて、なぜ東野さんの本が読みやすいのかわかりました。
「文学的表現がないから」です。
本が好きな割に、面倒くさい比喩表現や、まどろっこしい導入部が嫌いなんですよね。

あらすじ(「BOOK」データベースより)
「我々は、いつ、どこからでも爆破できる」。年の瀬のスキー場に脅迫状が届いた。警察に通報できない状況を嘲笑うかのように繰り返される、山中でのトリッキーな身代金奪取。雪上を乗っ取った犯人の動機は金目当てか、それとも復讐か。すべての鍵は、一年前に血に染まった禁断のゲレンデにあり。今、犯人との命を賭けたレースが始まる。圧倒的な疾走感で読者を翻弄する、痛快サスペンス。

あまり期待してはいませんでした。
実際、中盤まではそれほど動きも大きくなく、じわりじわりとストーリーが進む感じです。
登場人物も、この人はどういう役職だっけという人も多く、あまり人物関係が頭に入ってきません。
ただ、冒頭にも書いたように、東野さんの文章は本当に読みやすく、特に引っかかるわけでもなく話が進んでいきました。

事件のオチとしては、「ああ、前にもあったな」という感想で、それほど好きなオチではないのですが、真相がわかりだしてからの各登場人物の行動が素晴らしい。
登場人物の多い小説で、中盤まではあまり頭に入っていませんでしたが、終盤にかけて、「この小説に無駄な登場人物はいなかった」と思わせるほどの見事な終わり方でした。

久しぶりに小説で少し泣きました。
東野さんの小説で泣いたのは初めてかも。
たまたま泣いただけで、「泣ける小説」というわけではありません。

映像化は難しいかもしれないけど、やってほしいなという小説です。
ただ、古本屋で見つけた時点では、何年も経っているので、調べてみたら、すでにドラマになっていました。
主演は渡辺謙で、なかなかイメージがぴったりなので、見てみたくなりました。

  by ことぶき米穀 店長


農家を厳選し、厳しい基準をクリアしたお米だけが名乗れるブランド米「美穂のかほり」 5kg 3150円(税込3402円)
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【読書】阪急電車

読んで面白かった本の紹介をするコーナーです。
基本的に古本屋さんで買うので、最新の本の紹介ではありません。

前回の「君の名残を」は去年の8月に書いたんですね。
その間もちょくちょく本は読んでるんですが、ここに書く頻度が減っているせいか、よっぽど面白くないと紹介しなくなりました。
ちなみに、「鬼平犯科帳」の小説は面白かったですが、読み慣れるまで少々しんどい部分もあります。

今回紹介するのは、すごく読みやすい本です。

 「阪急電車有川浩(幻冬舎文庫)

内容は、関西のローカル線、阪急電車今津線の沿線で起こるエピソード。
所要14分という短い路線の8つの駅を題材に、折り返しを含め16話で構成。
恋が始まったり、恋が終わったり、フィアンセに復讐したり、日常を切り取った各エピソードは、それぞれの登場人物に少しずつ関わり、それぞれの話が独自に進行する。


私は京阪沿線なので、阪急電車に乗る機会は少ないです。
大学が阪急沿線だったので、当時は乗りましたが、この今津線には乗ったことはありませんでした。
駅名や地名は聞いたことあるのですが、行ったことがない場所が多いので、リアルに存在する路線と町ですが、想像するしかありません。

つまり、知ってそうで知らないから、この本は読まなくてもいいや。くらいに思ってました。

有川浩さんの「図書館戦争」は読んだことがあったので、興味はあったのですが、スルーしてました。
しかし、評価が高いし、持論である「映画(ドラマ)化された原作は面白い」にしたがい、読んでみました。

恋愛小説は読まない私ですが、1話の恋が始まる話は、なんとも言えない胸キュンなお話です。
1話だけだと、なんてことはない、よい話。
しかし、2話に、1話と話が少し絡むという、私が意外と好きな手法で、「この小説は面白い」と実感しました。

この手法、映画の「桐島、部活止めるってよ」でも使われた、登場人物を視点を変えて登場させるというものです。
「桐島」の方は、終わり方がまったくエンターテインメント性のないものだったので、評価していませんが、前半部分の軽いループな感じは好きでした。

一つ一つの話は、どれも劇的な展開はありません。
日常の一部を切り取ったようなものです。
でも、彼らの続きが知りたくなるような、そんな話です。

すーっと読めるので、軽く読める本をお探しの方にお勧めです。

  by ことぶき米穀 店長

低たんぱく米 石川県産「春陽」 玄米1kg 560円。

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【読書】君の名残を

読んで面白かった本の紹介をするコーナーです。
基本的に古本屋さんで買うので、最新の本の紹介ではありません。

前にここで紹介した、「四日間の奇蹟」と同じ著者の本です。

 「君の名残を」浅倉 卓弥 (宝島社)

(あらすじ)
友恵と、幼なじみの武蔵、そして親友の弟志郎は、神社の木の下で雷に打たれ、姿を消した。
目覚めた先は800年前の日本…そこで3人はそれぞれ別々の場所で運命の人と出会い、戦乱の中へ巻き込まれていく。

とにかく長いです。
少しの歴史の知識があれば、退屈することなく、すんなり読めますが、とにかく長いです。
それぞれが歴史に大きくかかわる人物になるという設定が、かなり奇抜で、序盤から惹きこまれます。
平家物語をなぞって物語が進行するので、先はわかるのですが、そこに至る経緯が工夫をこらしており、また、著者の独自の想像をプラスされ、新しい感覚の話になっています。


ここからは壮大なネタバレを含みますので、未読の方は読まないことをおすすめします。





友恵が巴御前だということは序盤に予想できたのですが、武蔵はてっきり宮本武蔵だと思ってしまい、時代が違う話をどうすり合わせるんだろうと思っていました。
まさか武蔵坊とは。(気づかなかった自分が恥ずかしい)

全体的に面白かったのですが、とにかく長いことがネックです。
平家側の話はいらないと思いますね。それだけで、かなり話がすっきりします。
安徳天皇が女だったというエピソードは物語とそれほど大きく関わっていないので、それも必要なのかと疑問です。

あとは、天狗だとか覚明だとかなんたらいうスピリチュアルな人物は、私はあまり好きではありません。
ファンタジーな部分はなるべく少ない方がいいと思うので、タイムスリップしたのであれば、そんな説明のつかない人物は必要ないのではないかと。

辛口なことばかり書いていますが、面白かったからこそ書いているということです。

友恵と武蔵が現代の剣道を平安末期に持ち込むと、当時の誰も勝てないくらいの剣豪になるという視点はとても好きです。
ただ、四朗が持ち込んだ現代の歴史の知識を、過去であまり活かせているように思えませんでした。
できれば、もっと頼朝を誘導するような場面があったほうがよかったのでは。

終わり方は、悲しい結末になるんだろうとは思っていましたが、やはり友恵は殺されずに終わりましたね。

とにかく、設定などはとても面白かったので、この設定で、マンガやドラマなどを作ってみてはどうかと思います。

  by ことぶき米穀 店長

低たんぱく米 石川県産「春陽」 玄米1kg 580円。

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【読書】五体不満足 完全版

読んで面白かった本の紹介をするコーナーです。
基本的に古本屋さんで買うので、最新の本の紹介ではありません。

ずいぶん前に話題になったけど、当時は本を読む習慣がなかったため、読んでいなかった本です。

 「五体不満足 完全版」乙武洋匡(講談社文庫)

30代以上の方は知らない人はいないだろうというくらい有名な方です。
生まれながらにして両手足が無い彼の自伝です。
テレビなどにすごく出ていた時期もあり、見たことのある方ならわかりますが、ものすごく明るい人です。
その彼が幼少期から、どのように育ってきたのかが、感動的に書かれています。

幼稚園、小学校、中学校くらいまでは、いろんな人に支えられ、助けられて、それらのエピソードが涙なしには読めないほど。
しかし、高校から大学にかけては、むしろ障害者ということを忘れるほど、普通にスクールライフを過ごしています。
いや、実際は大変なことのほうが多かったのでしょうが、それらを省いて書いてあるほど、普通の学生です。というか、普通以上に立派な学生です。

完全版というのは、本が出版された当初は3部構成で完結しており、その後、4部を追加して出版したのが完全版ということです。
これから初めて読むという方はもちろん、過去に3部までは読んだという方も、ぜひ完全版を読んでいただきたいです。

最初の本が売れに売れて、テレビなどにも頻繁に出演するようになり、ものすごい有名になった彼の苦悩が4部に書かれています。
3部までに書かれていた感動的な内容と打って変わって、「五体不満足」の人として生きなければならない苦悩が書かれており、読んでいて混乱してしまいました。
3部までで終わっているのと、4部まで読むのとでは大違いです。

ゴリゴリのスポーツ雑誌「number」で連載しているのは知っていましたが、それにいたるまでの話なども書いてあり、両手足が無い彼がスポ-ツ記者になったことも納得しました。

障害者がみんな彼のようには振る舞えないでしょうが、障害者への理解ということについては、この本はかなり役立つと思います。
ぜひ、読んでみてください。

  by ことぶき米穀 店長

前沢牛の堆肥を使い、天日で乾燥させたひとめぼれ「天日つや御膳」

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【読書】もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

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基本的に古本屋さんで買うので、最新の本の紹介ではありません。

今回は売れに売れたこの本。

 「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」岩崎 夏海(ダイヤモンド社)

「もしドラ」という通称で知られていて、アニメ化や映画化など話題になった本をようやく読みました。
あらすじは、

高校野球の女子マネージャーと仲間達がドラッカーを読んで甲子園を目指す青春小説です。弱小野球部のマネージャーの川島みなみは、ふとしたことで経営書の名作『マネジメント』に出会います。最初は難しくてめげそうになるのですが、次第に本の内容が野球部を強くするのに役立つのではないかと考えるようになります。そして仲間達といっしょになって、みんなの強みを生かして野球部を変えていきます。感動の青春小説です!
(公式サイトより引用)

読む前は、どうせ経営哲学的なものを野球部にあてはめて強くなるという話なので、ある程度は予測できるなとたかをくくっていました。
読み始めてすぐに思ったのは、文章が小説らしくないというか、稚拙というか。
最初はそれが気になってしまいましたが、徐々になれてきます。
そして、読む前に思ってた通り、経営哲学にあてはめて強くなるという、予測通りの展開。

しかし、終盤で、こともあろうか、泣いてしまいました。

やられた。
ずるい。


ドラッカーを聞いたことはありましたが、読んだことはありませんでした。
要所要所で「マネジメント」を引用していましたが、そこを読むだけでも、なるほどと思う内容です。
この本では、組織経営を野球部のあてはめますが、米屋である私は、経営を野球部にあてはめたものをさらに米屋にあてはめるという、逆輸入方式で想像しながら読んでいました。
そういう意味でも、この本はおもしろいだけでなくタメになりました。

ただ、話題性と表紙だけで売れている本ではなかったです。


ここからは内容に深く触れますので、未読の方はこの先は読まないでください。







私が泣いてしまった箇所は、当然ながら有紀が亡くなってしまった場面です。
ただ、本の間におもいっきり目立つカラーページのイラストを先に見ちゃったので、この成り行きは完全にバレバレでした。
なのに泣いちゃったので文句は言えませんが、有紀はストーリー上、死ぬ必要はあったのでしょうか。

死んでしまったあとのみなみの行動は、ストーリーになにか影響があったのでしょうか。

死ななくても、最後の「わざと大振りして空振りする」というエピソードは問題なく使えたと思うんですが。

それらすべてがドラッカーになぞらえられていたら、100点満点なんですけどね。。
それを差し引いても面白かったです。

  by ことぶき米穀 店長

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