米サイドストーリー

「ベイサイドストーリー」と読みます。枚方市の米屋「ことぶき米穀」の店長が、米屋の日常などを書きます。古い記事の場合、お米の価格が変わっている可能性があります。最新の価格は、ホームページでご確認ください。

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【逆説のお米選び】生産者と消費者のズレ

たまに農業を取り上げたテレビ番組を見ると、こんなことをコメンテーターが言います。
「農作物は農協に出荷すると、農協が価格を決めて、安く売ってしまう。それに頑張って作っても、他と同じ扱いにされてしまう。」

有名なあの牧場を経営している有名人はいつもこれを言います。
生産者は、かなりの数の方がこう思っているでしょう。

価格は農協が決めるというのは、ある意味で合っていますが、大体の意味では間違っています。
価格は生産者と消費者が決めます。
需要と供給です。
作る人が少なくて、欲しがる人が多ければ高くなります。
作る人が多くて、欲しがる人が少なければ安くなります。

コメンテーターはこうも言います。
「高く売りたい人は、がんばって良いものを作ればいい。そして、自分で売ればいい。」
それを聞いて、女性タレントなどは
「ちょっと高くても良いものを買いたい。みんな頑張って良いものを作ればいいと思う。」

これは、みんな東大に入ればいいと言っているようなものです。
みんなが頑張って勉強しても、東大に入れる数は決まってるんです。

全国の農家全員が有機農業で、無農薬の作物を作って、最高級の味を作るとしたら、消費者にとってはいいことです。
でも、それでは価格はみんな同じ平均的な価格になるんです。

いま、国産のお米が余っています。
消費量が減っているのもありますが、作りすぎているというのもあります。
ただ、冷害や、台風災害などで収穫量が悪い年は、足りなくなる可能性があるので、作りすぎであるとも一概には言えません。

近年、平年並み以上に収穫できているから余っているんです。
そして、その中でも著しく余っているのは、「コシヒカリ」です。

コシヒカリは、数ある品種の中でも一番高く取引されます。(例外はあります)
一番高いお米なのに、一番多く作っているんです。
しかも、ダントツで多いです。
本来なら、市場原理から言えば、コシヒカリは数が多く、余っているので、他の品種より安くならないといけません。
でもそうならないのが、米業界のおかしなところです。

日本人はコシヒカリが好きです。
でも、コシヒカリは高い。
米の販売動向からみると、かなりの割合で低価格層のお米が主流で購入されています。
大方の消費者の求めているのは、「好きなコシヒカリ」より、「コシヒカリでなくても、安価なお米」ということになります。

なのに、圧倒的にコシヒカリが作られています。
そして、余って、最後に、古米になる寸前、または古米になってから投げ売りされます。

こんな状況なのに、「頑張って良いものを作って、自分で高く売ればいい」とテレビで言っちゃうのは恐ろしい話ですね。

| こめ知識 | 23:36 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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